2010年5月2日日曜日

やきもち   浅見 梨央

私はよくやきもちをやく。
理由は、弟の野球だ。
弟のけんたは、野球をやっている。
お母さんはそればっかりについている。
けんたが野球を始める前までは、土曜、日曜によく出かけたりしていたのに、
けんたが野球を始めてからは、ぜんぜん出かけなくなった。
「行きたい」と言っても、「今度ね」とか、「今日は試合だから」が多い。
なんか…さみしい。
たまに出かける。
少しさみしいのが消える。
でも、なんかすっきりしない。
うまく言えないけど、同情みたいに思える。
わがままかな?



でも、もしかしたら、お母さんに不満があるんじゃないのかも知れない。
実際、けんたが野球をやるからこうなるんだし。
だからけんたに、
「野球やめろ。」
って、たまに言う。
そしたら、
「なんでだよ。」
って、けんたがおこる。
「お前が野球なんかやるから、りおが出かける回数が減るんだよ!」
言い返す。
すると、
「ふざけんな!」
とさらに言い返す。
でも、びみょーに泣いてる。
(へっ、ざまーみろ)
「なんで泣いてるの~?」
お母さんが気づいて言う。
「りおちゃんが、野球やめろって言うの~」
「えーっ、りおっ!」
「だって、買い物に行ってくれないじゃん。」
「だからって、けんたにあたることないでしょ。」



泣くのをこらえて、ふとんの部屋に行く。
そして、ふとんにもぐって泣く。
(なんだよ、けんたが野球やるから出かけられなくなるの、本当じゃん。ふざけんな!)
泣く。
泣く。
涙が出なくなる。
でもふとんにもぐってる。
ふとんから少しすきまをあけて、そこから酸素を吸う。
またもぐる。
なんかそこから起きていくのって、負けを認めたみたいだからいやだった。
でもそれじゃ何もできない。
迷う。
しかたない。
起きる。
(口はきかないから)お母さんに、
「りおっ。」
って呼ばれる。
無視。
そしたら、
「返事しなさいよ。」
って言われる。
「ん」
それだけ答える。
だいたいいつもねる時間くらいになる。
ふとんに行く。
ねる。
朝になる。
忘れてる。
ふつうに、
「おはよー」
になる。
だからもういいやって感じ。



でも、またちがう日、けんたに野球をやめさせようと、
「けんたはベンチ!」
とか言ってからかう。
そして、いつものようにけんたがおこる。
また、「あれ」がくり返される。
お母さんは、りおが買い物に行きたいって気づいているのかな? 
でも絶対けんたに野球をやめさせようとはしない。

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